「学校へ行っていない時の勉強はどうしていたのですか?」 -高1の秋ー
のどかの監督作映画「不登校のススメ」。
2019年の7月に完成し、いろいろな場所で上映会をさせていただいています。
のどかと友人2人で企画。半年ぐらいかけて脚本を作成していました。
3人とも不登校の経験がありそれぞれの経験や周りの話などを基に考えたようです。
上映会には、子どもさんが現在「不登校」で悩んでおられる方や「不登校」になりそうな状態で悩んでおられる方もたくさん参加されています。
その中で
「のどかくんは小学校1年生の5月から学校に行っていなかったということですが、勉強はどうされていましたか?」
という質問がありました。
一言で答えると
「勉強らしきことは、これと言ってほとんどしていません。」
のどかは小さい頃から本が好きで暇さえあれば「これ読んで」と次々持ってくるので私が時間がある時は、読んでいました。絵本から始まって今も大好きな「ドラえもん」の漫画、「ドラえもん」の学習シリーズも好きで「血液の不思議」とか「地球の不思議」とか。
のどかが理科系の学習に興味を持ったのは「ドラえもん」のおかげだと思われます。
読み聞かせは小学校2年生ぐらいまでひたすら続きました。
私の父が本好きで私も小さい頃から父には「本」しか買ってもらった覚えがないのですが、のどかにもひたすら「本」を送ってきてくれていました。
小1のクリスマスプレゼントがのどかのリクエストでホーキング博士の「宇宙への秘密の鍵」という子ども向けの本でした。
子ども向けと言ってもびっしり文字で埋まっていて300ページ以上もある分厚い本。
それをひたすら読まされ、声が嗄れました。(笑)
内容も宇宙のことが詳しく載っていて、読んでいる私は物語はよく覚えているのですが、土星がどうとか金星がどうとか・・・ただ文字を追っているだけなので内容は全然覚えておらず、1章終わるごとにのどかが「土星は・・・ってことなんやな。」と言うので「へー、そうなん・・・」と驚いては「今さっき読んでくれてたやん!」と呆れられていました。(笑)
「もうホーキングは許して~」と悲鳴を上げていたところ・・・
私に読んでもらうよりも自分で読む方が早くなってきて、気づいたら一人でどんどん本を読むようになっていました。
それからも次々、子ども向けでも大人向けでも気になる本を読むようになって小学校5年生の冬に滋賀県に戻ってきて学校に通うようになった時は、全校生徒に「のどかくんはすごい分厚い本を読んでるすごい!」と言われるほど読書好きになりました。
書く方は今でも苦手です。やはり自分で必要にせまられないとやる気にはならないようです。
一応、ある程度は書く練習もした方がいいだろうと私たちも思ったので小1の時から「絵日記」を書くようにすすめていました。
おかげで?平仮名ばかりで中学校でも宿題を提出するようになり、中学校の先生方は随分読みにくかっただろうと思います。
今はすべてパソコンで文字を入力して、脚本を書いたりN高校のレポートなどやっているので文字を書く必要がない状態のようです。
バイトの面接の前などは急遽名前や住所を漢字で書けるよう練習したりしています。これも必要となれば今からでも身に着けていくのではと思います。
算数はどうしても九九を覚えようとせず、自分で納得いくやり方で計算していました。
今でも九九全部は覚えていないと思います。覚えている部分と自分のやり方とを組み合わせて計算しているようです。
どうも納得できないとただひたすら暗記するということを拒否する、できないのではなく絶対にしないという感じでした。私も一度、「九九は覚えた方が楽やと思うけど・・・」と言ってみましたが、覚えなくても計算できると聞き入れませんでした。
余談ですが、小学校5年生で「友だちと遊びたいから」と学校に行きだしてしばらくした頃、
「なんか学校で『きょひ~るさん』って呼ばれてるねん・・・」
「なんで?」
「宿題とか拒否してるからみたいやわー。」
「うまいこと名前つけるねー!」
「ほんまに・・・結構、みんな面白いよー。」
という会話をした覚えがあります。
確かに根本的に納得しないことはやらない「きょひ~る」さんなのだなぁと納得。
他の教科も特に学習はしていなくて自分の興味のある本を読んでいるうちにいろいろな知識が身についていたようです。
小学校5年の12月から滋賀に戻って来て行きだした学校でも
「のどかくんはすごいもの知り。何でも聞いたら知ってる~。」と言われていたみたい。
確かにその頃は、すでに私たちも知らないことを本で読んで覚えていました。
小学校4年の時に知り合いの方に
「のどか、無料でネットで学習できるサイトがあるよ。面白そうやしやってみたら・・・」
と教えてもらい
「面白い!」と言ってやり出して・・・
選択式の問題がクイズのように出て来て正解したら〇!
間違っても理解できるようにすごくわかりやすい動画で説明してくれる。
eboardというサイトなのですが、
動画の授業が面白くて次々見たくなる。
工夫されていてわかりやすい。
理解できていない部分だけ何度も見て確認できる。
小学校から大学受験までどこからでもいつからでもやり始めたりやり直せるのがよいなぁと思いました。
小学校1年生から6年生までの算数は1か月で全部終わってしまいました!
子どもって興味を持ち始めたら自分で勝手にどんどん吸収していくものだなとこの時も強く感じました。だからと言って5年生の冬から行き始めた学校でどんどん勉強に励んでいたわけではありません。宿題は絶対嫌だと言ってほとんどやらず、家で勉強していたこともほとんどなかったような気がします。驚いたのは授業中は先生の話をよく聞いていて自分からどんどん手を上げて発表や質問をしていたということです。
小学校5年から中学2年までいろいろな先生方に「のどかくんはよく発表してくれてますよ!」と言われました。何度聞いても驚きでしたが、一度だけ6年の時に仕事の合間に授業参観に行った時に実際に何回も手を上げて発表していて「ほんまやー」と驚きました。
のどかは無理やり強制される勉強は嫌いだけど、自分から進んでする「学び」は好きなんだと思います。今でもいろいろな本を読んでいます。ネットでも気になることを調べているようで最近は私たちにはわからないネットの言語やAIのことなどを教えてもらったりすることもあります。
小学校や中学校の時に他のみんなと同じようにすべてのことを無理矢理しなかったことが、今でも「学びたい」という気持ちを持ち続けることにつながったのではないかと思います。
私自身のことを振り返ると、中学受験で必死で受験勉強したことで中学からの学びの気力が失われてしまったと感じることも多くあります。
これはのどかに限ったことではなく子どもたちみんなに当てはまることではないかと思います。
無理矢理学校で勉強することで学ぶ気力を失ってしまうのです。
「学校に行かなくなると勉強が出来なくなって後から困るんじゃないだろうか?」
と悩んでおられる方も多いのではないかと思います。
のどかや他の子どもたち、学校に行っている子や行ってない子、途中まで行ってたけど行かなくなった子・・・
いろいろな子どもたちの話を聞いたり本で読んだりネットで見たりした結果、私たちが思ったのは、
学校に行ってるとか行ってないとか関係なく、いわゆる大学受験に向けての勉強が好きな子はどんどん学習していくし、そういった勉強が嫌いな子は一日も休まず学校に行っていたとしても身につかないのではないかということです。無理が過ぎると身につかないだけでなく拒否反応が出て何かを考えたり新しいことを知りたいという好奇心までなくなってしまうのだと思うのです。
もし現在、お子さんが「学校に行きたくない。」と言っていることに対して
「行かなくてもいいよ。」と言ってしまったら、勉強ができなくなって将来この子が困ることになるかもしれないから安易には言えないと思っている方がいらっしゃれば、そんな心配は無用だと思いますよと伝えたいと思います。悩んでおられる方がおられたらぜひ伝えてください。
先程、紹介したeboardなど現在はネットで無料で学習できるサイトもいくつかあり、いつからでも自分で学習したい時に学習できるようになっています。普通の学校に通う程度ならわざわざ高いお金を払って塾などに通わせなくても「不登校」でも学習することはできます。
それならば「どうしても行きたくない。」と言っている子どもを無理に行かせる必要は全くないのではないかと思います。
あまり小さい頃からネットなどに触れさせたくないからその方法は・・・と思っている方がおられるかもしれません。私たちもそうでした。その場合でも全く問題はないのでしょうか?
のどかの例のようにやりたくなった時に始めれば6年分の学習を1ヶ月一通り終わらせることもできるので今まで言われていたような1年生の時からの積み重ねは必要ないのです。
学校の先生やおじいさん、おばあさん、近所の方やお友達の方々は悪気なく
「学校行かないと将来困るかもよ?何とか行けるようになったらいいね。」
と事あるごとにささやいてくるかもしれません。
それはその方々も「学習というのは1年生からの積み重ね」だと思い込んでいて、自分たちもそのやり方でやってきたからだと思います。
そのたびに「不登校」の子どもたちや両親は、自信をなくしそうになるかもしれません。
「やっぱり学校に無理にでも行った方が将来のためにはいいのかも?いいのだろうな。」と。
でもそのたびによく考えてほしいのです。
「無理に学校に行って傷ついて、将来何らかの弊害が出てくるかもしれない。」ことを。
そんなことになっても悪気なくささやいてきた人々は何もしてくれません。
自分自身を信じて、自分たちの子どもを信じて「将来のため」という文句に騙されずに現在を楽しく生きていくことで将来につながるということを伝えていきたいと思います。