「のどかくんはどうして学校に来ないの?」…義務教育の義務とは… -小1の3学期

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小学校1年生。最後の登校の日。

 

 

小学校の頃の出来事を思い出しながら書きたいと思います。

小学校1年の4月末、「絶対学校には行かない。」と自分で決めたのどか。

教頭先生や校長先生との話し合いのことは以前のブログをご覧ください。

不登校はルール違反!? 小1の5月 - のどかな学び舎 midori-ya

 

君は本当は学校に来れるんです!? 小1の10月 - のどかな学び舎 midori-ya

 

3学期になったある日、校長先生から

「クラスの保護者の方々から『のどかくんはどうして学校に来ないのですか?病気なんですか?』という声があがっているのですがどのように説明すればよいでしょうか?」と聞かれました。

のどかの父が

「直接お伝えした方がよいと思うので説明する機会を作っていただければ私が説明させていただきます。」と言うと、

校長先生は「いいんですか?それはぜひお願いします。」と喜んでおられました。

 

1学年1クラスしかない小さな学校でクラスメイトも15名ぐらい。

半年前にどこかから引っ越してきた子がいたはずなのに1ヶ月ぐらい来て来なくなって・・・

一体どうなってるんだろう?

と話題になっていたようです。

少し前に知り合いの方から

「のどかくんが学校に行っていないことがこの前話題になっていて、隣の学校の方だったけど『義務教育でも行かせなくてもいいのかな?』って言ってらしたから『義務教育』の説明を私なりにしておいたけど知らない方もいるみたいねー。」

という話を聞いていたこともあり、誤解のないように説明しようと事前に資料を作成しました。

 

資料には以下のようなことを記載しました。

 

義務教育とは:

日本国憲法26

1項 全て国民は、憲法の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。

2項 全て国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う。義務教育はこれを無償とする。

 

義務教育とは子どもの義務ではなく、子どもが「行きたくない」という意思表示をしない以上保護者は通学させる義務を負うというものです。

 

その上でのどかの意志として「現在の公教育をどうしても受けたくない。」と明確に示しているので親として子ども本人の意志を尊重することにしたと説明しました。

保護者の方々は特に異論なく、聞いてくださっていたそうです。

 

が、説明会が始まる前にひと悶着あったのです。

 

のどかの父は学校に到着すると校長先生に

「資料を用意したので人数分、コピーしていただけますか?」とお願いしました。

校長先生は事務の先生に

「コピーしてあげて。」と言われたそうです。

事務の先生は「はい。はい。」と快くコピーしてくださったそうです。

 

しばらく待っていると、教頭先生が出て来て

「お父さん、ちょっとよろしいですか?」と呼ばれ・・・

 

教頭「こちらの資料なんですが・・・説明会の場で配布していただくのは自由なのでもちろん結構なのですが・・・終了後に回収させていただくということでよろしいでしょうか?」と言われたそうです。

のどかの父「どうして回収する必要があるんですか?口頭の説明だけでは誤解があるといけないから資料を作成してきているんです。そのまま持ち帰っていただくようにお願いします。」

教頭「ですが、こういった狭い地域ですし、こういったものが広まってお立場が悪くなるといけませんし、その場で話していただくのはこちらからもお願いしたことなのでもちろん結構なのですが、後々困られることになると学校としても心苦しいですし・・・」

のどかの父「何も困りません。私は自分の意見は堂々と表明したいと思っていますし、回収どころかどんどん広めていただいた方がよいぐらいです。お持ち帰りいただきたいと思います。」

教頭「・・・どうしてもと仰るのでしたら回収は致しませんが・・・」

 

結局、資料を配布しそれに沿って説明し持ち帰っていただきました。

のどか本人の希望として

1か月、通学してみたがどうしても今のやり方の学校には通いたくない。決められた時間に決められたことを決められた通りにやるというのが絶対に嫌だから通いたくない。学校に行かなかったら自分で勉強しなければならなくなったり学校に行っている人より大変なこともあるかもしれないけど、それでも今は学校に行かずに家で両親と一緒に畑をしたり家の改装をしたり仕事をしながら自分でいろいろな本を読んで学習していきたい。」

ということなので私たち両親としては、本人の希望を最優先として出来る限りサポートしながら一緒に過ごしていきたいと思っているというようなお話をしました。

 

クラスのみんなには「のどかは元気で病気とかではないので心配しないで。時々は学校に来ることもあると思うので仲良くしてやってね。」と伝えていただければとお願いしました。

保護者の皆さんは、特に異論もなくお話を聞いてくださっていました。

「のどかくん大好き」といつも言ってくれる男の子がいてそのお子さんのお母さんは「うちの子はのどかくんのことが大好きでのどか君が来てくれたら喜んで楽しみにしているので時々は学校に来て仲良くしてやってください。」と言ってくださいました。

 

教頭先生は最後まで苦虫を嚙み潰したようなお顔をされていました。

 

 

のどかが小学校1年生の時はまだ「不登校」に対して文科省からの明確な記述はなかったのですが、当時も「不登校」に対しての罰則などは当然なく1日も通学していなくても校長判断で卒業認定はされていました。

現在は文部科学省のサイトにも「現行の就学義務履行の督促の仕組み」というページがあります。

「児童・生徒が7日以上出席せず、その他出席状況が良好でない場合で出席させないことに正当な事由がないと認められるとき」とあり、

「正当な事由」の【考えられる例】として①事故や病気によるもの ②不登校 等

と記載されています。

文科省HP

中央教育審議会 初等中等教育分科会(第40回)議事録・配付資料 [資料3−2]−文部科学省

 

 

文科省のサイトにも「不登校」は正当な事由として載っているぐらいだし、「不登校」への理解も以前より随分進んでいるのでは・・・と思っていましたが、まだまだ理解されていないようです。

 

「周囲の理解のなさで追い詰められる。」という切実な悩みを最近、上映しているのどかが監督の映画「不登校のススメ」の上映後のお話会などでよく聞きます。

不登校のススメ」に関してもタイトルだけで「安易に不登校をすすめるのはよくない。」などというご意見をいただくこともあります。

映画を観ていただくとわかっていただけると思うのですが、「安易に不登校をすすめている」わけではありません。

映画のことはまた次回に載せたいと思っていますが、「不登校」の子どもたちや保護者は「安易に」不登校を選んでいるわけではないと思います。

のどかのように「本人の希望」のみで「不登校」を選択したケースはまだまだ少ないようですし、ほとんどの場合は「行こうと思っているのにどうしても朝になると身体の具合が悪くなる。」「無理に通学していて具合が悪くなる。」というケースのようです。

のどかのように「本人の希望」で「不登校」になる場合でも「安易に選んでいる」のではなく、「登校」「不登校」どちらもの良い点・悪い点を考えた上で「自分はどうしたいか決める。」という選択をしたということです。

 

「安易に不登校を勧めるのはよくない。」というご意見に対しては、「安易に登校を勧めるのもよくない。」とお話していきたいと思います。