不登校はルール違反!? 小1の5月

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「さよなら遠足」の後、初めて学校に行ってお話した時のことです。

校長先生が急な外出でご不在だったので担任の先生と教頭先生とお話ししました。

初めに少しだけ父と母から経緯を説明させていただきました。

 

義務教育というのは子どもが学校に行きたいと言う場合、保護者は学校に行かせる義務があるということでのどかは学校に行きたくないと言っているので何度も意志を確認した上でのどかの意志を尊重したいと思っていること。

のどかは好奇心旺盛で親が驚く程、いろいろなことを知りたがる。知識欲はあると思う。本当は自分の希望する学校に行きたいがこの辺りで希望する学校は存在しないので行かないと決めたこと。

学校に行かないのならその時間遊んでいるのではなく、家の仕事が山ほどあるので一緒にやっていくと決めたこと。

など話しました。

 

希望する学校というのはどんな学校ですか?

と聞かれたのでトットちゃんが通っていた「巴学園」のような自分で自分のやりたい授業を決めて授業を受けられる学校。自分が知りたいことを先生に教えてもらえるのが希望ですとのどかが答えました。

すると教頭先生が

「僕もね『窓際のトットちゃん』の朗読CDつきの本を持っていて何度も聞いているよ。のどかくんと一緒だね。」と言われました。

 

次にのどかが自分の気持ちを話しました。

「決められた時間に決められた通りに決められたことをするのが絶対に嫌なので学校には行きません。」

それからずっと小学校を卒業するぐらいまで「学校に行きたくない」という自分の気持ちを表現するのにこの言葉を使っていました。

 

その後、教頭先生がのどかとお話されました。

職員室から学習指導要領を持って来られて、

教頭先生「この本分厚いやろう。これは学校で教える内容を決めてある本なんや。先生が決めてるんじゃなくて誰が決めてるんかわかる?」

のどか「教育委員会の人でしょ。」

教頭先生「いやいや。教育委員会の人よりもーっともーっと偉い文科省の役人の人が決めてるんや。」

のどか「・・・」

教頭先生「それでほら、ここ見てみたらこんな漢字がたくさん載ってるやろー。1年生から6年生までで覚える漢字が全部載ってるんや。これ全部学校に来てたら覚えられるやろうけど、家で一人で覚えられるか?」

のどか「大人になるまでには必要なものは覚えられると思います。」

教頭先生「いや。でもこれ全部は難しいと思うよ。一つぐらいは絶対抜けると思うよ。」

のどか「それぐらい抜けてもいいと思うけど。」

教頭先生「そ、そうか・・」

    「そうか。そうや。でもな、給食でも好き嫌いはあかんって言ってるやろう。食わず嫌いはもっとあかんと思うよ。」

のどか「だから4月は学校に行ってみたんです。」

教頭先生「ま、まぁ、そうやな。学校に来たくないって言って朝、いつまでも寝てたらよくないからな。あんまり寝すぎると頭がぼーっとすることあるやろう。」

のどか「学校に来なくても家で一緒に家の仕事をするのでそんなに遅くまでは寝てないようにできます。」

教頭先生「そうか。そうやな。あ、でもな。教頭先生は家から車で学校まで来てるねんけど、本当はスピード出して走るの好きやから100kmぐらいで飛ばして来たいねんけど、そんなことしたらみんなの迷惑になると思うから60kmで速度守って来てるねん。君もな・・・」

のどか「それとこれとは別問題だと思います。」

教頭先生「そ、そうやな。確かに別問題やったな。あ、そしたら私は用事があるのでこれで失礼します。後は担任の先生と今後のことを打ち合わせてください。」と去っていかれました。

 

担任の先生は初めから「のどかくんはもうきっと来ないでしょうから。ご両親もそれでいいと思われているでしょうし。」と言われ「今後は週に1回ぐらい訪問または電話で様子を聞くことになると思います。」ということでした。

担任の先生自身が校長先生や教頭先生の対応にあきれておられる感じで「校長先生が急に出張ですみません。」としきりに言われていました。

 

あまりにものどかにきっぱりと「それとこれとは別問題」と言われていたので笑いそうになってしまったのですが、スピード違反と不登校を同じように考えているというのは絶対におかしいことです。可笑しいではなく。

 

のどかが「学校に行かない。」と決めた小1の5月、今から9年前のことです。

当時は不登校=よくないことというような風潮もまだまだあったと思います。

のどかは何を言われても動じることはなかったし、私たち一家も引っ越してきて半年ぐらいですごく田舎の地元の人たちですら「不便やろ」と言われるような谷奥の水道もないようなところに暮らしていたので(沢水で暮らせる貴重な場所でした。)、きっと親も変わってるし何言ってもあかんやろうと思われていたのだと思います。

何も言ってこない人がほとんどだったので中傷などは耳に入ってきませんでした。

でももし学校に行った方が良いと私たちが思っている中でのどかが苦しみながら「学校に行かない。」と言う選択をしたときに親の理解も得られず、先生から「ルール違反」だと言われたらどんな気持ちがするでしょうか。

のどかに否定されてすぐ「別問題やったな。」と言うような程度の軽い気持ちで発言していたのなら尚更大問題だと思います。

小学校1年生の子どもにとって先生に向かって先生と反対の意見を主張するのはとても勇気のいることだと思います。

先生方はご自分の発言が子どもを傷つける恐れがないかもっとよく考えて発言すべきです。不登校はルール違反ではないのに、あたかもルール違反の悪いことをしているような言い方をして子どもに罪悪感を与えるという卑怯なやり方だったと思います。

この時は、のどかも抗議することを望んでいなかったし、「学校に行かない」ことをスムーズに進められれば良いという希望だったのであえて抗議はしませんでした。正直、何を言っても伝わらないだろうという気持ちもありました。

 

しばらくたって新宮の町の良く行くお店に行ってこの話をしたら

「のどかは自分の力で学校に行かないという選択を勝ち取ったんだね。」と言われました。確かにのどかは自分で自分の気持ちをはっきりと言葉にして、自分の生き方を選んで実現したのだなと思いました。

これがのどかの第一歩でした。